ライターのための書評No.3 『短いは正義――「60字1メッセージ」で結果が出る文章術』 それだけで、うまくいく

はじめに

 

 今回紹介する書籍のタイトルは『短いは正義――「60字1メッセージ」で結果が出る文章術』だ。

 

『「一文60字以上」が、あなたを残念な人にする。』

 

 この一文は本書から抜粋したものである。

 

 また、こうも言う。

 

 『短く書く。それだけで、うまくいく』

 

 これらの文章には、正直いかがわしさを覚えた。

 

 しかし、伝わる文章のようにも感じる。

 

 そこまで言うなら見てやろうじゃないか。

 

 

『短いは正義――「60字1メッセージ」で結果が出る文章術』の概要

 

 本書の趣旨はただ1つ。

 

 『とにかく短く書くことだけを心がけてください』

 

 これだけだ。

 

 では、本書は何にページを割いているのか?

 

 短くした文章を魅力的なものにする方法が、物凄く丁寧に説明されている。

 

 先述の通り、著者はコピーライターである。

 

 コピーライターによる一般層向けの文章術、これこそが本書の概要だ。

 

 では、次にコピーライターによる文章術の一端を見ていきたい。

 

『短いは正義――「60字1メッセージ」で結果が出る文章術』の著者と出版年の紹介

 

 著者は田口まこ氏。

 

 略歴より、職業はコピーライター

 

 コピーライター歴30年以上のベテランで、これまでに「カロリーメイト」や「カネボウ」など数々のコピーを担当されている。

 

 出版年は、2021年。

 

 文章術に情報の鮮度は求められないかもしれないが、新しいに越したことないだろう。

 

 では、次に「結果が出る」と題した本書の内容を見ていきたい。

 

『短いは正義――「60字1メッセージ」で結果が出る文章術』における文章術

 

以下、本書における「文章術」について、特に興味深かった内容を3点あげていきたい。

 

①文頭の「あ・い・う・え・お」で気持ちまで伝える

 

「あ、小林製薬

 

このコピーは余りにも有名である。

 

これを日常に活かすとどうなるか。

 

人とのやり取り時、あ行を入れることで、素っ気なさがなくなるという。

 

具体的には、

 

「それは良かったです」

 

 

「おお!それは良かったです」

 

に変えることをあげている。

 

わずかな文字数で感情を伝える良い方法であると感じた。

 

②身近な数字で実感させる

 

「ビタミンC レモン3個分」

 

身近な数字で実感させる好例である。

 

ほかにも、「20兆円の資産」を、身近な数字に変換する方法が説明されている。

 

どのように数字の変換が行われるのか、ぜひ本書をご覧いただきたい。

 

③記憶に残るフレーズをつくりたいときは、強みを数字に置き換えられないか

 

「素早く」という単語を数字に置き換えるならば、どうするだろうか?

 

もちろん、記憶に残るフレーズに変換する必要がある。

 

本書では、

 

「素早く完成する新食品」

 

 

「1,2,3,で完成する新食品」

 

に置き換えている。

 

芸術的にさえ感じた。

 

おわりに

 

趣旨は陳腐化したものではあるが、内容は魅力的であるように感じた。

 

はじめの数ページをめくるだけでも、本書に惹き込まれることは間違いない。

 

本書は、「短いは正義」というメッセージを伝えるための、壮大なコピーライティングである。

 

なお、本書評は全文60字以内に収めた。

 

それだけで、うまくいっただろうか?

 

 

 

ライターのための書評No.2 『10倍速く書ける 超スピード文章術』~うまい文章の呪縛から脱却せよ~

はじめに

 

 

 文章を速く書くこと。

 

 これができて困る人はいないだろう。

 

 ところが、うまい文章の書き方を解説した本は数多かれど、早い文章の書き方を解説した本はあまりに少ない。

 

 今回紹介する書籍のタイトルは『10倍速く書ける 超スピード文章術』である。

 

 速く解説に入ろう。

『10倍速く書ける 超スピード文章術』著者と出版年の紹介

 

 著者は上坂徹氏。

 

 略歴より、職業はブックライター。

 

 何と、10万字を4~5日で書き上げるらしい。

 著書には『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』や『職業、ブックライター』などがある。

 

 出版年は、2017年。

 

 本書は文章術を題材とした書籍であり、情報の鮮度はそこまで重視すべきではないだろう。

 

 では、次に「10倍速く書ける」と第した本書の内容を見ていきたい。

 

『10倍速く書ける 超スピード文章術』の概要

 

 本書で語られる文章術は以下を抜きにして語れない。

 

 「素材を並べるだけで文章は成り立つ」

 

 よって、「素材」を集めず「ゼロから文章を作ろうとする」ことは厳禁だ。

 

 本書の文章作成は、「素材集め」と「素材の構成」の2工程から成り立っている。

 

 そのため、本書の前半は「素材集め」についての解説だ。

 

 一方の集めた「素材の構成」を行い文章化することについても、丁寧な解説がなされている。

 

 なお、本書の最終章の題名は「ケース別・速筆術」である。

 

 本書で学習した素材の構成方法について、作者が実際に作成した文章を例に解説している。

 

 以上が本書の概要だ。

 

 次に、本書の「文章術」の一端を紹介していきたい。

 

『10倍速く書ける 超スピード文章術』における文章術

 

以下、本書における「文章術」について、特に興味深かった内容を3点あげていきたい。

 

①集めた素材を見える化する

 

 本書における「文章術」は「素材集め」をことさらに重視する。

 

 集めた「素材」を「見える化」するため、誰もが使用するツールを意外な形で活用している。

 

 その他にも、「素材集め」に関して、数多くの工夫の記載がある。

 

 詳細はぜひ本書を確認してほしい。

 

②専門用語は必ず噛み砕く

 

 本書は「素材の構成」という工程にて、筆者が心がけていることの1つである。

 

 当たり前のことかもしれないが、これ以外にも筆者が「素材の構成」時に留意している事柄が項目別に列挙されている。

 

 「素材の構成」は、言い換えれば実際に文章を組み立てる工程である。

 

 プロのブックライターによる、「素材の構成」は多くのライターに取って役立つものとなるのではなかろうか。

 

③わかりやすくて、読者に役立つ文章

 

 目指すことは、「うまい文章」ではない。

 

 作者は、小説家や新聞記者のような文章の理想化を戒めている。

 

 あくまで、ライターやビジネスマンに向けた「文章術」を解説している姿勢は、大いに評価できる。

 

結論

 

 本記事は『10倍速く書ける 超スピード文章術』の内容をもとに執筆した。

 

 文字数は1232字である。

 

 素材集め後の執筆時間は1時間13分であった。

 

 

ライターのための書評No.1 『10年つかえるSEOの基本』~SEOとは何か~

はじめに

 

 

 「SEO」を意識すれば、検索結果の上位に自らのサイトを載せることができる。

 

 ゆえに、検索エンジンの攻略技術たる「SEO」を学ぶことは重要だ。

 

 しかし、「SEO」という手段を用いる最終目標は、「検索結果の上位」に表示させることなのだろうか?

 

 より俯瞰した目線で「SEO」を見つめ直したい。

 

 そのようなニーズに応えるのが、今回紹介する『10年つかえるSEOの基本』*1である。


 これから紹介したい。

 

 

 

『10年つかえるSEOの基本』、著者と出版年の紹介

 

 著者は、土居健太郎氏。 

 

 略歴を『10年つかえるSEOの基本』より一部引用する*2

 

 ヴォラーレ株式会社に参画、未経験入社ながら猛勉強の末1年で同社の事業部長に抜擢され、SEO事業の本格的な立ち上げを行う。

 現在は同社の取締役として、SEO技術の監修のほか、2012年8月にリリースされた自社メディア「Appliv」のSEOも手がけ、現在は月間500万人以上が利用するWebサービスに成長させている。

 

  出版年は、2015年。

 

  一見、進化を続ける「検索エンジン」に付随する「SEO」を取り扱う書籍としては、古すぎるように思う。

 

  しかし、本書のタイトルは『10年つかえるSEOの基本』である。

 

  なぜ、「10年つかえる」のか、本書の概要と合わせつつ見ていきたい。

 

『10年つかえるSEOの基本』の概要

 

 本書における「SEO」は以下のように定義されている*3

 

検索エンジンが、検索する人に、どのような結果を提示しようとしているのか?」を理解し、検索結果でより優遇されるに値するサイトにしていくことにほかなりません。

 

 ゆえに、「どうやってほかのサイトより上位にするか」といった考えを「短絡的」とまで評している*4

 

 上記を踏まえた上で本書の特徴を以下に述べる。

 

 本書は「SEO」に関する技術書ではない。

 

 「SEO」を正しく理解するための入門書である。

 

 そのため、「SEO」を実現するためのテクニックではなく、「SEO」という用語や「SEO」により実現すべきものに焦点が置かれている。

 

 「検索結果でより優遇されるに値するサイトにしていく」ための基本を読者に提供する。

 

 これが本書の概要である。

 

 時代により変化する小手先のテクニックではなく、「SEO」に対する考え方を提供する本書は、まさしく「10年使える」と題するにふさわしい。

 

『10年つかえるSEOの基本』の評価点

 

 以下に本書の評価点を3点あげていく。

 

①内容が理解しやすい点

 

 「SEOを知らない初心者」と「SEOの専門家」の2人による掛け合い形式により、本書は構成されている。

 

 「SEOを知らない初心者」が読者の分身たる役割を持ち、これにより読者が置いてけぼりになることはない。

 

②サイトを利用する人を重視する点

 

 本書は検索する側の視点に立っている。

 

 当たり前のことかもしれないが、本書はこれが一貫している。

 

 サイトをサービスの一環と捉えられる読者であれば、本書の内容は非常に有意義なものとなっている。

 

 もちろん、「どうやってほかのサイトより上位にするか」という観点に立った「SEO」と比べ、視座が高いことは言うまでもない。

 

③「SEO」実現のための指針が理解できる点

 

 本書は「SEO」実現のため必要な事柄が、4項目に分けて記載されている。

 

 これにより4つの項目を指針として、読者は「SEO」実現を目指すことが可能だ。

 

 「10年つかえる」指針の理解は、大きな恩恵足りうるだろう。

 

まとめ

 

 『10年つかえるSEOの基本』は「SEO」の入門書と評価できる。

 

 そのため、本書で学んだことを踏まえつつ、より実践的な学習が必要であろう。

 

 しかし、SEOの基本」をこれほどまで丁寧に解説した書籍を私は知らない。

 

 本書によって「SEO」を正しく理解することは、これ以上ない幸いと言えるのではなかろうか。

*1:土居健太郎著、技術評論社、2015年

*2:前掲注1、奥付

*3:前掲注1、26頁

*4:前掲注1、25頁

情景描写の練習 ~『文章力が豊かになる本』を参考に~

はじめに

 

 こんにちは、八尺です。

 

 『文章力が豊かになる本』*1を参考に情景描写を練習します。

 

 まず、情景描写のポイントをまとめ、同書の例文を掲載。

 

 その後、フリー素材から情景描写を試みます。

 

 一緒に勉強していきたいので、コメントくれると嬉しいです。

 

 

実用文における情景描写のポイント

 『文章力が豊かになる本』によると、情景描写について以下3つのポイントをあげています。

 

  1. 「主観を排し、客観的な目で光景を整理し直す」*2
  2. 「光景の構成要素を具体的に把握する」*3
  3. 「全体状況を述べて、(中略)具体的状況や動きの説明に入る」*4

 

 「1」については、対象の情景を知らない人にとって分かりやすい説明を心がけるよう解説されています。

 

 「2」については、時・場所などのみならず出来事(中心としたい話題)をも構成要素として把握することが重要だそうです。

 

 「3」については、大状況→中状況→小状況の流れで「舞台」イメージ(全体状況)を述べ、その後登場する「人」・「もの」の具体的状況や動きの説明に入る、という流れを解説されています。

 

  以上、3点を踏まえ『文章力が豊かになる本』における情景描写の例文を見ていきましょう。

 

例文から情景描写を学ぶ

 ここからは、本書における情景描写の例から、上にあげた3つのポイントを見ていきます。

 

 以下のイラスト(朝の通勤電車)が描写対象です*5

 

 

 まず、「主観を排し、客観的な目で光景を整理し直す」の観点から上記イラストを見ていきます。

 

 これに関してはさしたる問題はないでしょう。

 

 今回のテーマは、デフォルメされたイラストなので、主観が入り込む余地が無いように思います。

 

 次に、「光景の構成要素を具体的に把握する」の観点から上記イラストを見ていきます。

 

 以下、画像から読み取れる構成要素の洗い出し。

 

・朝の通勤電車(題目より)

・吊り革につかまり新聞を読むスーツ姿の男性

・ドアの近くで立っている1人の男性

・座席は満席で立っている人もいる

 

 上にあげた構成要素のうち、このイラストの出来事(中心話題)にあたるのは、「吊り革につかまり新聞を読むスーツ姿の男性」になるでしょうか。

 

 細かいところをあげるとキリがないので、このくらいで一旦区切ります。

 

 最後に、「全体状況を述べて、(中略)具体的状況や動きの説明に入る」の観点から、上記イラストを見ていきます。

 

 全体状況は、大状況→中状況→小状況の流れで説明するので、以下が妥当でしょうか。

 

・大状況:朝の通勤電車

・中状況:座席は満席で立っている人もいる

・小状況:ドアの近くで立っている1人の男性

 

 具体的状況や動きは、出来事(中心話題)の「吊り革につかまり新聞を読むスーツ姿の男性」と定義して良さそうですね。

 

 では、これらを踏まえ、『文章力が豊かになる本』中における本イラストの情景描写を引用します。

 

 「朝の通勤電車内でのこと。混んではいないが、座席は満杯で、立っている人もいる。スーツにネクタイ姿の男性が、ドアに近い場所に立ち、右手で吊り革を握り、左手で新聞を持ち、それに読み入っている。」*6

 

 いかがでしょうか。

 

「光景の構成要素を具体的に把握する」にてあげた諸要素を、「全体状況を述べて、(中略)具体的状況や動きの説明に入る」に沿って並べ替えたことで、伝わりやすい情景描写になっている気がします。

 

 次章にて、ここまで学んできたことを活かし、情景描写を試みます。

 

情景描写~よく見るフリー素材を題材に~

 以下の写真*7を描写対象とします。

 

 

 早速、写真から読み取れる構成要素の洗い出し。

 

・昼の喫茶店

・人がまばらで利用者がほとんどいない(窓側)

・テーブル席に座る一人の女性

・女性のいで立ちは紺色のセーターにボーダー柄のシャツ

・テーブルには、スマホとマグカップとノートパソコン

・女性はノートパソコンで作業中

 

 これら構成要素のうち、出来事(中心話題)は「女性はノートパソコンで作業中」かと思います。

 

 次に、全体状況を大状況・中状況・小状況に分類。

 

・大状況:昼の喫茶店

・中状況:人がまばらで利用者がほとんどいない(窓側)、テーブル席に座る一人の女性

・小状況:女性のいで立ちは紺色のセーターにボーダー柄のシャツ、テーブルには、スマホとマグカップとノートパソコン

 

 具体的状況や動きは、出来事(中心話題)の「女性はノートパソコンで作業中」と定義して良さそうですね。

 

 では、情景描写をしてみます。

 

「昼の喫茶店。窓際の席はいずれも空席で閑散としているが、奥まった所にあるテーブル席に1人の女性がある。彼女は紺色のセーターにボーダー柄のシャツという出で立ちで、スマートフォンとマグカップを脇に置きノートパソコンで作業中のようだ。」

 

 こんな感じでしょうか?

 

 やはり、情景描写のフレームワークに従ったことで、何とか伝わるのではないか、と思います。

 

終わりに

 以上、情景描写の学習でした。

 

 『文章力が豊かになる本』は、このように丁寧な説明がなされているので、学習しやすい用に感じます。

 

 これからもぼちぼち更新していきたいです。

*1:小笠原信之著、高橋書店、2022年

*2:前掲注1、171頁

*3:前掲注1、171頁

*4:前掲注1、171頁

*5:前掲注1、172頁

*6:前掲注1、172頁

*7:PAKUTASO、「カフェとノーパソ美女の写真素材」

URL:https://www.pakutaso.com/20160701207post-8437.html

2022年11月12日閲覧