ライターのための書評No.2 『10倍速く書ける 超スピード文章術』~うまい文章の呪縛から脱却せよ~
はじめに
文章を速く書くこと。
これができて困る人はいないだろう。
ところが、うまい文章の書き方を解説した本は数多かれど、早い文章の書き方を解説した本はあまりに少ない。
今回紹介する書籍のタイトルは『10倍速く書ける 超スピード文章術』である。
速く解説に入ろう。
『10倍速く書ける 超スピード文章術』著者と出版年の紹介
著者は上坂徹氏。
略歴より、職業はブックライター。
何と、10万字を4~5日で書き上げるらしい。
著書には『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』や『職業、ブックライター』などがある。
出版年は、2017年。
本書は文章術を題材とした書籍であり、情報の鮮度はそこまで重視すべきではないだろう。
では、次に「10倍速く書ける」と第した本書の内容を見ていきたい。
『10倍速く書ける 超スピード文章術』の概要
本書で語られる文章術は以下を抜きにして語れない。
「素材を並べるだけで文章は成り立つ」
よって、「素材」を集めず「ゼロから文章を作ろうとする」ことは厳禁だ。
本書の文章作成は、「素材集め」と「素材の構成」の2工程から成り立っている。
そのため、本書の前半は「素材集め」についての解説だ。
一方の集めた「素材の構成」を行い文章化することについても、丁寧な解説がなされている。
なお、本書の最終章の題名は「ケース別・速筆術」である。
本書で学習した素材の構成方法について、作者が実際に作成した文章を例に解説している。
以上が本書の概要だ。
次に、本書の「文章術」の一端を紹介していきたい。
『10倍速く書ける 超スピード文章術』における文章術
以下、本書における「文章術」について、特に興味深かった内容を3点あげていきたい。
①集めた素材を見える化する
本書における「文章術」は「素材集め」をことさらに重視する。
集めた「素材」を「見える化」するため、誰もが使用するツールを意外な形で活用している。
その他にも、「素材集め」に関して、数多くの工夫の記載がある。
詳細はぜひ本書を確認してほしい。
②専門用語は必ず噛み砕く
本書は「素材の構成」という工程にて、筆者が心がけていることの1つである。
当たり前のことかもしれないが、これ以外にも筆者が「素材の構成」時に留意している事柄が項目別に列挙されている。
「素材の構成」は、言い換えれば実際に文章を組み立てる工程である。
プロのブックライターによる、「素材の構成」は多くのライターに取って役立つものとなるのではなかろうか。
③わかりやすくて、読者に役立つ文章
目指すことは、「うまい文章」ではない。
作者は、小説家や新聞記者のような文章の理想化を戒めている。
あくまで、ライターやビジネスマンに向けた「文章術」を解説している姿勢は、大いに評価できる。
結論
本記事は『10倍速く書ける 超スピード文章術』の内容をもとに執筆した。
文字数は1232字である。
素材集め後の執筆時間は1時間13分であった。