ライターのための書評No.1 『10年つかえるSEOの基本』~SEOとは何か~

はじめに

 

 

 「SEO」を意識すれば、検索結果の上位に自らのサイトを載せることができる。

 

 ゆえに、検索エンジンの攻略技術たる「SEO」を学ぶことは重要だ。

 

 しかし、「SEO」という手段を用いる最終目標は、「検索結果の上位」に表示させることなのだろうか?

 

 より俯瞰した目線で「SEO」を見つめ直したい。

 

 そのようなニーズに応えるのが、今回紹介する『10年つかえるSEOの基本』*1である。


 これから紹介したい。

 

 

 

『10年つかえるSEOの基本』、著者と出版年の紹介

 

 著者は、土居健太郎氏。 

 

 略歴を『10年つかえるSEOの基本』より一部引用する*2

 

 ヴォラーレ株式会社に参画、未経験入社ながら猛勉強の末1年で同社の事業部長に抜擢され、SEO事業の本格的な立ち上げを行う。

 現在は同社の取締役として、SEO技術の監修のほか、2012年8月にリリースされた自社メディア「Appliv」のSEOも手がけ、現在は月間500万人以上が利用するWebサービスに成長させている。

 

  出版年は、2015年。

 

  一見、進化を続ける「検索エンジン」に付随する「SEO」を取り扱う書籍としては、古すぎるように思う。

 

  しかし、本書のタイトルは『10年つかえるSEOの基本』である。

 

  なぜ、「10年つかえる」のか、本書の概要と合わせつつ見ていきたい。

 

『10年つかえるSEOの基本』の概要

 

 本書における「SEO」は以下のように定義されている*3

 

検索エンジンが、検索する人に、どのような結果を提示しようとしているのか?」を理解し、検索結果でより優遇されるに値するサイトにしていくことにほかなりません。

 

 ゆえに、「どうやってほかのサイトより上位にするか」といった考えを「短絡的」とまで評している*4

 

 上記を踏まえた上で本書の特徴を以下に述べる。

 

 本書は「SEO」に関する技術書ではない。

 

 「SEO」を正しく理解するための入門書である。

 

 そのため、「SEO」を実現するためのテクニックではなく、「SEO」という用語や「SEO」により実現すべきものに焦点が置かれている。

 

 「検索結果でより優遇されるに値するサイトにしていく」ための基本を読者に提供する。

 

 これが本書の概要である。

 

 時代により変化する小手先のテクニックではなく、「SEO」に対する考え方を提供する本書は、まさしく「10年使える」と題するにふさわしい。

 

『10年つかえるSEOの基本』の評価点

 

 以下に本書の評価点を3点あげていく。

 

①内容が理解しやすい点

 

 「SEOを知らない初心者」と「SEOの専門家」の2人による掛け合い形式により、本書は構成されている。

 

 「SEOを知らない初心者」が読者の分身たる役割を持ち、これにより読者が置いてけぼりになることはない。

 

②サイトを利用する人を重視する点

 

 本書は検索する側の視点に立っている。

 

 当たり前のことかもしれないが、本書はこれが一貫している。

 

 サイトをサービスの一環と捉えられる読者であれば、本書の内容は非常に有意義なものとなっている。

 

 もちろん、「どうやってほかのサイトより上位にするか」という観点に立った「SEO」と比べ、視座が高いことは言うまでもない。

 

③「SEO」実現のための指針が理解できる点

 

 本書は「SEO」実現のため必要な事柄が、4項目に分けて記載されている。

 

 これにより4つの項目を指針として、読者は「SEO」実現を目指すことが可能だ。

 

 「10年つかえる」指針の理解は、大きな恩恵足りうるだろう。

 

まとめ

 

 『10年つかえるSEOの基本』は「SEO」の入門書と評価できる。

 

 そのため、本書で学んだことを踏まえつつ、より実践的な学習が必要であろう。

 

 しかし、SEOの基本」をこれほどまで丁寧に解説した書籍を私は知らない。

 

 本書によって「SEO」を正しく理解することは、これ以上ない幸いと言えるのではなかろうか。

*1:土居健太郎著、技術評論社、2015年

*2:前掲注1、奥付

*3:前掲注1、26頁

*4:前掲注1、25頁